「アルギニン」の正しい効果~サプリで身長は伸びません~

アルギニンは体の成長に欠かせないアミノ酸です。「子どもの背が伸びない」とお悩みのお母さん方の間では「身長を伸ばすサプリ」として話題になっています。しかし、アルギニンを摂るだけで本当に子どもの背が伸びるのでしょうか? そこでアルギニンの本当の効果について解説します。

アルギニンとはどのような栄養素なのか

まずアルギニンとはどの様な成分で、どの様な特徴があるのかをご紹介します。

タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一つ

私たちの体を作っているタンパク質は20種類のアミノ酸で構成されています。アルギニンはそのうちの一つで、体の成長や健康維持に欠かすことができない栄養素です。

体内で作り出せる非必須アミノ酸

アルギニンを含む20種類のアミノ酸は、体内で作ることができず食事から摂る必要がある9種類の「必須アミノ酸」と、体内で作り出せる11種類の「非必須アミノ酸」に分かれています。アルギニンは非必須アミノ酸に分類されます。

子どもにとっては必須アミノ酸

アルギニンは体内で作り出せるとはいえそれだけでは必要量を確保できず、食事から補う必要があります。そのため「準必須アミノ酸」とも呼ばれています。

なお大人よりもアルギニンを多く必要とする子どもにとっては必須アミノ酸であり、食事から十分な量を摂らせる必要があります。

吸収されやすく体内で素早く利用できる

アミノ酸であるアルギニンは消化酵素で分解する必要がなく、小腸から素早く吸収されます。肉や魚などに含まれるタンパク質はアミノ酸で構成されているため、タンパク質を摂ることでアルギニンを供給することも可能です。

しかし、タンパク質は消化酵素で分解してからでないと体内に吸収されず、しかも時間がかかります。また摂取したタンパク質の全てが体内に吸収されるわけではありません。アルギニンは吸収性に優れていて、体内で素早く利用できるのがメリットです。

アルギニンの効果とは

アルギニンにはさまざまな効果があり、子どもから大人まで欠かすことのできない栄養素です。アルギニンが人体にどの様な影響を及ぼすのか紹介します。

成長ホルモンの分泌を促す

アルギニンが注目される理由の一つに「成長ホルモン」の分泌促進があります。成長ホルモンは脳の下垂体から分泌され、骨を丈夫にして身長を伸ばし体を大きくする、文字通り成長に欠かせないホルモンです。

さらに成長ホルモンにはもう一つ重要な役割があります。それは食事から摂取した栄養素をエネルギーに変換する代謝です。

私たちが生きていくためには体を動かすエネルギーを作り出す必要がありますが、成長ホルモンがその役割を担っているのです。

また成長ホルモンには食欲を抑制する作用があり、食欲抑制剤としても利用されています。

さらに脂肪の代謝を促すことで筋肉を増強する効果が期待できます。

免疫力を高める

アルギニンは体内でマクロファージという免疫細胞を活性化する働きがあります。私たちの体は鼻や口などの粘膜から侵入してくるウイルスや細菌に対して、免疫という防御システムによって感染を防いでいます。この免疫を担っているのが免疫細胞である白血球で、マクロファージはその一つです。マクロファージが活性化されると免疫力が高まり、風邪やインフルエンザなどの感染症に罹りにくくなります。

血流を促進する

アルギニンには一酸化窒素を作る働きがあります。体内で一酸化窒素が作られると、血管が拡張されて血流が促進されます。つまり血液が全身に循環しやすくなるのです。

そのためアルギニンには血圧を下げたり、「動脈硬化」や「心筋梗塞」を予防する働きが期待されています。

アンモニアを解毒して疲労を軽減する

アンモニアは肝臓で解毒されたのち、尿と一緒に排出されますが、アルギニンには肝臓の代謝を助けることで、アンモニアを解毒する働きがあります。さらにアルギニンによってアンモニアが解毒されることで、アンモニアが引き起こす運動時の疲労を軽

減する効果が期待されています。

肌を保湿する

アルギニンは美容にも良いことが分かっています。肌が乾燥してカサカサするのはアミノ酸不足が原因の一つとされています。アルギニンには肌の最も外側を覆っている角質層を保湿する効果があることが分かっています。

アルギニンを摂ると身長が伸びるのは本当か?

いよいよここから本題に入ります。「子どもの身長が伸びる」と謳っているサプリにはアルギニンが多量に含まれています。果たしてこの謳い文句のようにアルギニンを摂ると身長が伸びるのでしょうか? その真偽を解き明かします。

静脈注射すると成長ホルモンの分泌が促される

アルギニンによって成長ホルモンが分泌されるかどうかは、「成長ホルモン刺激分泌検査」で調べることができます。静脈に体重1kgあたり0.5gのアルギニンを点滴注射することで、通常の人は成長ホルモンの刺激で分泌されるIGF-1という物質の血中値が上がることが分かっています。

これはアルギニンによって成長ホルモンの分泌量が増えていることを示しています。アルギニンが体内で成長ホルモンの分泌に関わっていることは事実なのです。

経口摂取による効果は確認されていない

ならばアルギニンを含むサプリを摂ると成長ホルモンの分泌量が増えるのでは? と期待してしまいます。そこでアルギニンの経口摂取による効果を調べた二つの研究を紹介します。

男性有酸素トレーニング経験者15名を対象に、運動前にアルギニンを体重1kgあたり0.075 g摂ってもらいました。その結果、血中成長ホルモン濃度に影響は認められませんでした。(参考元1)

男性ウエイトトレーニング経験者18名を対象に、運動前にアルギニンを体重1kgあたり0.075 g摂ってもらいました。その結果、運動中に血中アルギニン濃度は上昇したものの、成長ホルモン濃度に影響は認められませんでした。(参考元1)

二つの研究はアスリートを対象にしたものですが、信頼できるデータに乏しく効果は証明されていないと言わざるを得ません。

 

では子どもに対してはどうなのでしょうか?

これも残念ながらアルギニンの経口摂取によって、成長ホルモンの分泌量が増えたことを示す研究結果や文献は見当たりません。

つまりアルギニンの経口摂取による効果は確認されていないのです。

もちろんこれは成長ホルモンに関してであり、免疫力向上や血流促進などに効果がないということではありません。

アルギニンの血中濃度を上げる必要がある

体内でアルギニンが働くためには血中濃度を上げる必要があります。成長ホルモン刺激分泌検査では体重1kgあたり0.5gという大量のアルギニンを点滴注射することで、成長ホルモンが分泌されているかどうかを調べます。アルギニンの投与によって成長ホルモンの分泌を示すIGF-1が一定以上であれば、正常と判断できます。

問題なのは投与する量であり、体重1kgあたり0.5gということは体重20kgの子どもでも10g、60kgの大人なら30gにもなります。これだけの量のアルギニンを点滴注射すると、ものの30分ほどで血中濃度が一気に上がります。

経口摂取でアルギニンの血中濃度を上げるのは難しい

ではこの量をサプリから摂ることはできないのでしょうか?

広く普及しているサプリには1日分に500~2500mgのアルギニンが含まれています。それでも体重20kgの子どもでは点滴注射の1/4~1/20の量に過ぎないのです。

しかもいくらアミノ酸は体内に吸収されやすいとはいえ、全てが血中に入るわけではありません。これはいかに経口摂取でアルギニンの血中濃度を上げることが難しいかを示しています。

アルギニンの大量投与は点滴注射だから可能なのです。

身長が伸びることを示す研究結果や文献は見当たらない

アルギニンの摂取によって成長ホルモンの分泌が促されたとしても、そのことによって子どもの身長が伸びたという研究結果や文献は見当たりません。

特にサプリについては「子どもの身長が伸びる」と謳っていても、信頼できる研究結果が示されていないのが実情です。そもそも本当に子どもの身長が伸びるなら医薬品として認められているはずなのです。

アルギニンサプリの注意点

コスパが悪い

アルギニンは大量に投与しないと成長ホルモンの分泌を促す効果は期待できません。それならなおのことサプリが良いのではと考える方もいるでしょう。

しかし、アルギニンのサプリは効果が保証されていないうえに、費用がそれなりにかかります。安価なサプリでも1日分100円ほど、1ヶ月なら3000円になります。

それでも効果があるなら試す価値はありますが、効果を示す研究結果がないのに1ヶ月3000円使う価値があるのでしょうか? サプリはコスパが悪いと言わざるを得ません。

大量に摂ると副作用を引き起こす恐れがある

アルギニンは体に必要なアミノ酸であり、適切に摂っていれば安全であることが示されています。ですが手っ取り早く効果を得たいからと大量に摂ると副作用が引き起こされる恐れがあります。

アルギニンの主な副作用として、腹痛、鼓腸、下痢、痛風が報告されています。

特に胃腸の調子が悪い方は副作用が発生しやすいので、摂り過ぎには注意が必要です。アルギニンは水溶性のため多少摂り過ぎても尿と一緒に体外に排出されますが、子どもは大人ほど体が丈夫ではなく、体調を崩しやすいので特に気をつけましょう。アルギニンをサプリから摂る場合は、1日分の容量を守ってください。

アルギニンは毎日の食事から摂る

食事からでも十分な量を摂れる

アルギニンを経口摂取しても、成長ホルモンの分泌量を増やして背を高くする効果は期待できませんが、免疫力向上や疲労回復などの効果は期待できます。

子どもにとっては必須アミノ酸ですから、不足しないように積極的に摂らせましょう。もちろんサプリを利用するのも選択肢の一つです。ですがなにもサプリからしか摂れないわけではありません。

アルギニンは毎日の食事からでも十分な量を摂ることができるのです。

アルギニンを多く含む食品

食品 アルギニン量(100gあたり)
ゼラチン 7.9g
湯葉(干し) 4.4g
かつお節 4.3g
凍り豆腐 4.1g
落花生 3.2g
きな粉 2.8g
大豆(乾燥) 2.7g
ごま 2.7g
しらす干し 2.4g
くるみ(炒り) 2.2g
すじこ 1.8g
若鶏肉(むね・皮なし・生) 1.6g
豚肉(ロース・赤身・生) 1.5g

出典:「食品成分データベース」(文部科学省)

大豆製品や鶏肉・豚肉がおすすめ

アルギニンは私たちが普段から口にする多くの食品に含まれています。子どもに摂らせるならタンパク質を豊富に含む大豆製品や鶏肉・豚肉がおすすめです。例えば豚肉・鶏肉・牛赤身肉を1日100~130g食べるだけで、2500mgものアルギニンを摂取できます。なにも特別な献立にする必要はなく、ハンバーグやステーキ、トンカツなどお子さまが好きな肉料理を出すだけで十分なのです。

キュウリと一緒に摂るとより効果的

アルギニンを食事から摂るにしろサプリから摂るにしろ、経口摂取ですから効果に大きな差はありません。なんとかしてアルギニンの血中濃度を上げる方法はないのでしょうか?

そこで注目されているのがシトルリンというアミノ酸です。アルギニンとシトルリンは大変に相性が良く、一緒に摂ることで相乗効果が期待できることが分かっています。

 

名古屋大学と協和発酵バイオの共同研究によると、アルギニンとシトルリンを一緒に摂ると、それぞれを単独で摂った場合に比べて血中アルギニン濃度が急激に上昇することが確認されています。(参考元2)

 

このシトルリンはキュウリ、スイカ、メロン、ゴーヤなどのウリ科の野菜に多く含まれています。例えばスイカには100gあたり180mg、メロンには50mgものシトルリンが含まれています。とはいえ毎日のようにスイカ・メロンを食べるのは難しいですよね。

 

スイカ・メロンほどではありませんが、サラダや酢の物、浅漬けの定番であるきゅうりにも100gあたり9.6gのシトルリンが含まれています。

きゅうりはそのほとんどが水分であり、スイカやメロンのように糖質を多く含まずカロリーが低いのがメリットです。アルギニンを豊富に含む大豆食品や鶏肉・豚肉ときゅうりを一緒に食べましょう。

 

参考元1:https://www.jpnsport.go.jp/jiss/nutrition/supplement/evidence/arginine/tabid/1232/Default.aspx

参考元2:https://www.kyowahakko-bio-healthcare.jp/healthcare/arginine/column.html

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